今月の言葉は
「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」です。
この言葉はもともと、江戸時代の大名で剣術の達人でもあった肥前国平戸藩主(今の長崎県平戸)松浦静山の言葉と言われております 元楽天イーグルスの監督ノムさんこと野村克也監督の座右の銘としても有名です。
いまオリンピックの真っ最中でありまして、アスリートの皆さんの姿に感動している毎日です。このコロナ禍で想像を絶する不安や努力を乗り越えあの場に立たれているアスリートの皆様をまえに「勝ちに不思議の勝ちあり」とは思いません。昨日金メダルを取った柔道女子78キロ級の素根輝(そねあきら)選手は人より3倍努力するをモットーに猛練習を続けたといいます。少しの手抜きが勝敗を分ける、そのことを一番よく知っている選手の皆さんはそれこそたゆまぬ努力を続け、勝っては謙虚に負けてはそれをステップに更なる飛躍への糧にして精進されてきたことでしょう。
アスリートではない私達においては何を以て勝ちか負けかというのはその時その時人それぞれですが、仏教的に縁起の考え方から言えば、勝つことも負けることも不思議ではなく、なるべくしてなるわけです。
運よく勝ちを収めた場合でも、その方は事前に運を見方につけられるような徳を積んでおられたことでしょう。人生は思い通りにならないものですから、負けることもたくさんあるでしょう。ただその負けた後が大切で、その「負け」を真摯に受け止め、向き合った者だけが再び勝つことが出来る。成長することができる。
そう思って日々精進してゆきたいものでございます。
新光明寺 山本泰祐